†序章†

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「ちょっとアナタ、ここを開けて頂けないかしら?風が強くてたまらないの。中に入れてちょうだい」 虫だけに無視だ。 はいそうですか、とこたえる訳にも、意味もなく窓を開ける訳にもいかない。 ただ聞こえないふりをした。 「……いやね、失礼しちゃうわ。これだから若い人ってキライなの」 そう言うとバッタはぷりぷりと怒って窓から羽ばたいて行く。 その姿が本物の虫の小ささになるまで待ってから、私は窓に視線を戻す。 なぜ、彼らに私が見えていると分かるのか…それは今も分からない。 ただ、彼らは自分勝手で自己主張が大好きで…とにかく私に関わっていくのだ。
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