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私には人造人間に興味があった。本来神から与えられるべきである生命を、科学の力をもって作り出す。そう考えるだけで、震え上がるほどの興奮が私を駆け巡った。
私はその思いを叶えるため、自宅付近に研究施設を増設し、職を続けながらも研究を始めた。私には妻と娘がいたが、しばらくは構ってやることはできないだろう。だがそれでもよかった。今私にとって最も大事なことはこの研究を完成させることだ。それに、家族に会いたくなれば好きな時に休むこともできる。優先すべきは研究だが、私の意志で中断することもできるのだ。
だが、私は自分の真意を妻に打ち明けていなかった。彼女は神を厚く信仰しており、私のしていることはその冒涜に他ならない。だから私は、世間的には介護用ロボットを製作しているということになっていた。
とは言え、それは言い方を少し変えただけのことであり、究極的に目指すところはまったく同じことだ。妻を騙すことには気が引けるが、それも仕方ないことと割り切った。
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