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ずっとずっと、ユウくんと話したいと思ってた。
小さい頃のように手を繋いで、あの笑顔をすぐ近くで見ていたかった。
だけど、ユウくんが中学を卒業して高校生になってしまうと、遠くから姿を見ることすらできなくなった。
ユウくんは私の住んでいるところで一番いい学校に進学した。
私もユウくんと同じ高校に行きたかったけど、私の成績じゃ無理で、諦めるしかなかった。
どんどんユウくんが遠くなっていく。
それが、私はすごく悲しかった。
だから、私は蓋をすることにした。
ユウくんのことじゃなくて、別の男の子のことを考えるようにした。
実際、周りの友達はユウくんのことを知らない。
そうして私は、ユウくんのことを忘れていった。
忘れたと思っていた。
なのに、今は、こんなにもはっきりと思い出すことができる。
遠くからだったけど、いつも見ていたユウくんの姿を。
友達とおしゃべりしているところ。
一生懸命部活をしているところ。
笑っているところ。
忘れていた年月を埋めるように、私の中のユウくんが目を覚ましていく。
一度に目を覚ましたせいで、耐え切れなくなり、私の目から涙となって溢れてしまった。
それでも、次から次へと目を覚まし、涙となっていく。
私が思うことはただ一つだけだ。
ユウくんに、会いたい。
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