夏の夢

2/12
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
今日は久しぶりに部活が早く終わった。 高校生になってから、中学からの友達である咲季に誘われて入ったテニス部だったが、今では咲季以上に私がハマってしまった。 咲季は夏休みの練習量の多さにうんざりしていたが、私は嬉しくて仕方がないくらいだ。 今日も朝から丸一日部活がある予定だったが、顧問の先生に急用ができたとかでお昼ちょっと過ぎに解散になってしまった。 皆でボール拾いとコート整備をすると、着替えをしに咲季とおしゃべりをしながら部室へ向かう。 「今日は早く終わってラッキーだったね」 咲季は鼻歌でも歌いだしそうなくらい上機嫌にそう言った。 「私はもっと練習したかったな」 私がそう言うと咲季は大げさに肩をすくめて笑った。 「やれやれ、相変わらず由衣さんは練習がお好きなことで」 「いいことじゃん。テニスって楽しいんだもん」 咲季は確かにと頷く。 「でも、練習は面倒臭いよー。疲れるし」 なんていいながらわざとらしくため息を吐く咲季の頭を、軽く叩く。 「そんなことばっかり言ってると、私に試合で負けちゃうよ?」 「それはやだなぁ」 その後も私たちは他愛のない会話をしながら、帰宅の準備をした。 久しぶりに早く終わったのだから、どこかに遊びに行こうかという話もしたけれど、お互い夏休みの宿題が全然できていなかったから、結局やめにした。 最近、咲季と遊べていなかったから残念だったけど、仕方ない。 ほぼ毎日、一日中部活がある中で、膨大な量の宿題を消化するなんて無理な話だ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!