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着替え終わって外に出ると、少し暗かった部室とは正反対の眩しい太陽が輝いていて、思わず目を細めた。
空を見上げると、濃い青の空に真っ白な入道雲が浮かんでいる。
少し遅れて出てきた咲季と二人で、暑い暑いと言いながら少し距離のある正門まで歩いていく。
咲季は電車通学だけど私は自転車通学だから、正門の近くにある自転車置場で別れた。
自転車に乗って道路を走っていると、少しだけ涼しい風が私の汗ばんだ首筋や額を撫でていく。
それでも、暑いものは暑い。
家に帰ったら真っ先にシャワーを浴びよう。
私はシャワーのことを考えながら、ひたすらペダルを漕いでいった。
家に着く頃には汗だくになっていて、Tシャツが肌にくっついて気持ち悪い。
さっさとこんなもの脱ぎ捨てて、シャワーを浴びよう。
自転車を車庫に入れると、玄関から家の中に入る。
「ただいま」
そう言いながら、靴を脱ぎ捨てていたら、リビングのドアが開き母が顔を出した。
「あら、おかえりなさい。早かったのね。部活じゃなかったの?」
リビングから流れ込んでくるクーラーの冷気が気持ちいい。
「今日は先生が急用ができたとかで、早めに解散になったんだ」
「珍しいこともあるのねぇ」
母はそれだけ言うと、またリビングの中に引っ込んでしまった。
大方、テレビのワイドショーでも見ているのだろう。
母は芸能人の不倫とか三角関係とかの話が好きで、特に、そういうものを見ながらお茶を飲むのが大好きだ。
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