夏の夢

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アイスを食べ終わると、私は勉強机の前に移動して、宿題に取り掛かることにした。 まだ、出された量の半分も終わっていない。 なんだってこんなに夏休みの宿題って多いんだろう。 せっかくの長い休みなんだから、ゆっくりさせてくれたっていいのに。 ……愚痴っていても仕方がない。 とりあえず、今日は時間もあることだし、苦手なのから片付けていこう。 私は数学のワークを机に広げると、シャーペンを手に取った。 ようやくワークの第二章が終わった頃には、外は少し茜色になっていて、蜩の鳴く声が聞こえてきた。 少し休憩しようと伸びをしながら、中身のなくなったマグカップとアイスのカップを持って下へ行く。 リビングのドアを開けると、さすがに母もテレビを見るのをやめて隣の台所で夕飯の支度をしていた。 「あ!由衣、ちょうどよかったわ。ムクの散歩に行ってきてくれない?」 ムクとは私の家で飼っている犬のことだ。 毛が真っ白なので、純真無垢からとってムクという名前にした。 「別にいいけど。今日はまだ行ってないの?」 普段ならお母さんがダイエットを兼ねて散歩に行っている。 最近、体重が増えてきているらしく、それを気にしてのことだ。 「実はついついテレビを見ちゃって、行けなかったのよ」 「ダメじゃん。そんなんじゃ、ダイエットにならないよー?」 私がそう言うと、母はそうなのよねぇと苦笑いした。 「ま、いいけど。じゃあ、散歩しに行ってくるね」 「お願いね」
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