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蜩の声だけが響いていた中に、突然笑い声がした。
びっくりして慌てて目を開けると、何時の間に来たのか小さな子供が二人、楽しそうに戯れ合っている。
目を閉じる直前までは確かに誰もいなかったのに。
一体この子達はどこから来たんだろう?
かくれんぼでもしていたのだろうか?
ここは隠れる場所がたくさんあるから、かくれんぼには打って付けの場所だ。
たぶん、近所の子がかくれんぼをしていたのに、私が気が付かなかっただけなんだろう。
私はそう結論づけると、楽しそうにはしゃぐ二人を見た。
小学校低学年くらいの女の子と男の子の二人組だ。
こんなに年の離れた知り合いはいないはずなのに、私にはなぜかこの二人の顔に見覚えがあった。
私の家からそう遠くはない場所だから、どこかで見かけたんだろうとも思ったが、それとは違う気がする。
見覚えがあるだけでなく、なんだか懐かしい感じもしたからだ。
私はそう感じた理由を確かめようと、さらにこの二人を観察する。
二人は境内を手を繋いで走り回っている。
すると、男の子のほうがなにかに躓いてしまったのか、転んでしまった。
女の子も、繋いでいた手に突然かかった重みに耐え切れず、一緒に転んでしまう。
それを見て私は、慌てて駆け寄り、二人に声を掛ける。
「大丈夫?」
その声に反応して二人はそろって顔を上げた。
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