決意の前に…

遭難

俺の育った町は、とても田舎で、山々に囲まれている。
それぞれの部落に、分けられた範囲で山に土地を貰って、ｷﾉｺを採ったり山菜を採ったりしていて、それが簡単な副職みたいになっている。所もある。
ウチも祖父が良く山から旬の山菜等を採って来て、それを食卓に飾るのが習慣ではあった。
父も母も、『もう歳も歳だから…』と、止めてはいたが祖父は趣味として止めなかった。
そんなある日―。

夕飯の時間だというのに祖父がいない…、祖母に聞けば山に行ったとか…。
いつもならもう帰って来ても良い頃なのに…。
そう―
祖父は山で遭難したのだ…。