遭難

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次の日の朝。 8時位に目を覚ますと、もう捜索は始まっていた…。 70歳を過ぎた老人が二晩も山で夜を過ごしたのだ、季節も秋口、 もう祖父の体力は身心ともに限界…もしくは―。 と、誰もが最悪の結果を頭に思い浮かべながら始まった捜索…。 母や親戚の叔母(こないだの人とは別の人)は朝早くから、捜索隊の人達のために、差し入れを作ったりしていてバタバタと動いていた。 こちらも疲れの色が見える…。 俺や妹もすぐ手伝いに混ざって、“捜索本部”とされている、地区の集会所へ差し入れや物を運んだりした…。 集会所へ行くと、皆知った顔の人達で、普段から近所でお世話になってる人や、同級生の親の人まで駆けつけてくれていた。 『大丈夫、もうすぐ必ず見つかるからね』と皆励ましてくれた…。 正直、家族の俺自身 「もしかしたらもう…。」 と弱気になっていたので、励まされると無性に切なくなった…。 だから、そんな気持ちを振り払うように、手伝いに没頭した。   正午になって、2~300個の差し入れのおにぎりや飲み物を運び終え、食事も終わり、午後の捜索が開始してすぐの事だった…。 祖父が見つかった―!
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