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見つかったと聞いた瞬間、嬉しさの反面、とっさに祖父の生死が気になって素直に喜べなかった…。
大丈夫なのか…?!
生きているのか…?!
怪我はないか…?!
不安を払拭しようとして抑えていた気持ちが、ザワザワと沸き上がってきた。
すぐに親の元へ跳んで行き話しを聞いた―。
言葉が出なかった…。正直耳を疑った。あり得ない…。
…何故なら…、『祖父が電話をしてきた』からだ…。
曰く詳細は、
『おじいちゃんは、山で遭難して、そのまま“カン”を頼りに、山を歩いて、登って、越えて、山の向こうの町に下りて、民家に行って、自分で電話をしてきた』…そうだ。
無事を確認した俺は、一目散に、前日にお願いをしに行った神社に行き、お礼をしてきた。とにかく嬉しかったから…。
戻ると家族や捜索に関わった人達皆が、穏やかに安心していた。
言えるだけお礼を言い尽くし、捜索隊の人達が解散した後、家族で集まって、祖父の無事を喜んだ。
しかし、結果的に祖父の“一人舞台”に終わったこの騒動。
結末は笑えたが、その後知った捜索費は、とても笑えなかった…。
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