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幕合一 ~地下酒場にて~
ここはとあるビルの地下にある、寂れた場末のバー。
閑散とした店内には殆んど客はおらず、マスターがグラスを磨く音が響いていた。
酒場だと言うのに、楽しんでいる者はいなかった。
皆が皆、それが当たり前かのようにだるそうに酒を飲んでいた。
…いや、店内をよく見れば一人だけ楽しそうにしている男がいた。
電球の切れた照明の下で机に倒れこむようにして、だらしなく寝ていた。
ウェーブがかった髪の毛を後ろに流し、ジーパンに黒いTシャツとラフな格好の青年だった。
青年はアルコールを含んだ涎を垂らしながら、ニヤニヤと口元を緩めていた。
良い夢でも見てるのだろうか、楽しそうな寝言を発していた。
「ゾンシスいちわの後書きだずぇ~」
言葉の意味は不明だったが青年はは楽しげに、そして嬉しげに笑っていた。
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