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雨が降っていた。
篠で突くような激しい雨が。
今日の日付は八月三日。
二日前、突然妹が死んだ。
第一発見者は俺、兄である御堂 光輝。場所は自宅でもある寺の境内の真ん中。
激しい雨に体温を奪われ、冷たい体で倒れていた。
倒れてから動いたのだろうか、全身泥だらけになっていた。
その後、俺は警察に連絡したらしいがそのあたりからのことはよく覚えていない。
ただ、警察官が俺に声を掛けるまで雨の中で妹をずっと抱きしめていた事と、全身泥だらけでありながらも両手を広げ天を仰ぐ様なその姿は神々しさを感じてしまうほど美しかったことだけは鮮明に記憶している。
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