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実際のところ砦には程遠いこの集落のたった一つの門は固く閉ざされ、男どもが五人も六人も警備にあたっている。
そんな集落での、円い月が昇り、辺りに薄闇が広がる月夜のこと。
門の内側、高くそびえる囲いよりもさらに高く組まれた矢倉に陣取っていた見張りの男が、異状を認めて声を張り上げた。
「おおい、東の竹やぶの方から人だ。三人はいるぞ」
報せを聞きつけた下の男どもはまなじりを吊り上げて、よそ者の姿を見極めんとした。
迷いのない足取りから、よそ者達は明らかにこの集落を目指して歩いていると分かる。
やがて一人一人の顔も判別できる程に距離が縮まった――。
門の前で彼らの顔をしかと見た番人はちょっと面食らった顔をした。
よそ者の一人は――――
子どもだったからだ。
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