「穏やかな日」

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「俺――鳥になりたい。そして自由に空を飛びまわりたい」 ――昼休み。 瑠衣は窓の外を見ながら黄昏ている恭二の姿を見つけた。 「何沈んでんだ?だいたいビルばっかの景色見て何か楽しいのか?」 「うるさい!!この風景だってな、夜になれば建物の光でパ~~ッと明るくなって綺麗なんだぞ………きっと」 反論をしているにも関わらずなぜか自分の言葉に自信を持ってない恭二。 「はいはいわかったわかった、言っとくが夜の校舎はセキュリティーが厳しくて生徒は入れないからな」 「んなこと言われなくてもわかってるつーの!!」 くだらない話はこの辺にしておき本題に入ることにする。 「で?なんで落ち込んでたんだ?」 瑠衣が尋ねると恭二は深いため息をひとつ、そしてゆっくりと語り始めた。 「親父がさ、帰って来るんだよ―」 恭二の話はこうだ。 恭二の父親は外国で事業を起こすため数年前から家を出ており、以来中宮家は母親と妹、そして恭二の3人で暮らしていた。今回は父親が事業の立ち上げに成功したらしく、連絡と羽伸ばしをかねて一度こちらに帰ってくるらしい。 「なんだよ、よかったじゃないか。久しぶりの家族と再会だろ」 不思議そうに瑠衣は尋ねるが、恭二の顔はいっそう暗みがかった。……そう、まるでゴブリンのように…このネタはもういいか。 「それで済むなら俺だって素直に喜べるさ。けどな…親父はこっちに滞在中は俺の部屋に泊まるんだぞ!?人がいたらあ~~んな事やこ~~んなことができないだろ!!」 「お前、部屋で何してるんだよ…」 軽く脱力のかかった瑠衣に対し、今度は逆に不気味な笑みを浮かべる恭二。そうそれは…(以下省略)。 「フッフッフ、よくぞ聞いてくれた。俺の部屋俺のPCの電源を入れたらそこはもうワンダーランド。モニターに映し出されるのは数々のエ…ぐわっ」 「皆まで言うな!!!」 言うか否かの所でげしっという音と共に激しいキックが恭二の背面を襲った。そこにはいつからいたのか凛が立っていた。 「あんたは昼真っから何話してんのよ!!」 恭二はすっくと立ち上がり 「いきなり蹴るな!こっちは真剣に悩んでんだよ!!」と叫んだ。 その後二人は呆れて何も言えず、あまり相手にせずにその場を去った。
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