「崩れはじめる日常」

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瑠衣が白髪の少年と接触した同時刻、泰正と凪沙は近くの高層ビルの屋上から監視を行っていた。 ―――おかしい。 目標である瑠衣に接触を行っていた少年は2人の視点から見ても明らかに一瞬で姿を消していた。ホログラフィーとして考えるには余りにもリアルな現象だった。 「あれってさあ……もしかして」 「常人とは考えにくいが異能者とは断定できないな」 凪沙が答えるのを遮るかのように泰正は冷静に答えた。つまり何が起こったとしても現在の任務はあくまでも『深海瑠衣の監視』ということに変わりはないという泰正らしい意見だった。 と、そこにバサリという音と共に1つの黒い物体が2人のそばへ降り立った。 それはローブを着た1人の人間だと確認できたのはすぐの事だった。 「総隊長から貴様等特務隊に通達を預かっている。『奴等が再び動きを見せようとしている、特務隊の諸君は今まで以上に監視および援護を行って欲しい』……以上」 ローブの男は2人にそれだけ告げると来た時同様バサリという音を立て颯爽に屋上から飛び降りた。驚いた凪沙は体を半分投げ出し地面を見たがそこはもぬけの殻だった。 「やれやれ、これから忙しくなりそうね」 どうにもやり切いといった苦笑を見せる凪沙。
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