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それから一年後……。
「先輩~少し話があるんですけど……」
「ん?どうしたよ?」
失意のどん底といった雰囲気の後輩を前に、僕はベンチでタバコを吸っていた。
「なんか、変な業者が金払えみたいなことずっと言ってくるんスよ」
ハイ来た!
僕の鴨。
「ったく……エロサイトばっか見てるからそうなるんだよ。どうせワンクリの地雷でもふんだんだろ?次来たらお前らに払う金は無いって言っとけ。家にくるって言ってもほっときゃいい。絶対こないから」
被害者だからこそ言える完全な回避法。
家に来るといっても、たかだか数万巻き上げるためにわざわざここまで来るほど業者も馬鹿では無いだろう。
「あ、いまその電話きましたよ」
「タイミングいいな。見本見せてやるから携帯貸して」
そう言って後輩から携帯を受け取る。
「はいはい」
「あ、もしもし。090-xxxx-xxxxの携帯の方ですよね?そちらが利用になったアダルトサイトの料金が未納になっていまして……」
なんど聞いても似たような始まり方ばかり。
いい加減新しい始め方見つけろと説教したくなる今日この頃。
「それでですね、至急指定する口座に6万8千円を入金してほしいんですが」
「あ?お断りします。てか払う義務も無いし、払う必要性も無いから」
「それでは回収班がそちらの自宅や職場に出向いて払っていただくことになり…」
「どうぞご自由に。じゃぁ指定する日時に来てもらえる?8月X日の午後五時でよろしく!警察とお茶用意して座敷で正座して待ってますんで。あんまり遅れるとこっちの足の痺れがやばくなるからなるべく時間通りに来て下さいねー」
「やかましいガキが!さっさと金払えや!!」
「あ~急に態度変わったねおっさん。そんなんじゃ架空請求ですっていってるようなもんよ?てか架空請求以外ありえんか。普通にそういう業者なら携帯からかけてこないもんね」
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