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架空請求業者の痛いところをタバコを吸いながら突きまくる。
「絶対いくから待ってろよ!住所言えや!」
「おっさん、あんた最初こっちに回収班送るって言ったでしょ?つまり自分で調べれるわけじゃん。自分で調べてこっち来なさい。まぁそのときは詐欺罪のほかに今の脅迫罪、おまけに個人情報がらみであんた実刑確実で逮捕やけどねー。あぁ、ちなみにそのときは弁護の余地は無いし、顧問弁護士とかいうの使ってもあんたら負け 確実やから覚悟してね♪」
「バカ!!」
詐欺師らしからぬ終わり方で、一方的に電話を切られた。
「バカ言われてきられたし!?」
不安そうな表情の後輩を和ませるために、笑いながら携帯を返す。
「心配すんな。電話じゃ来るみたいな事いってたけど実際こないから。てかどこの世界に詐欺で巻き上げる金以上の旅費使って金巻上げにくるバカがおるよ?普通そんなことせんわな」
僕はあの日からいままで、架空請求業者にはいつもこの手を使っている。その間、業者が来た事は一度も無い。
「はぁ、先輩すごいっすね……」
「あぁ、あんなもん、向こうのペースに持っていかれるからそうなるんだよ。こっちのペースに引き込んで逆に鴨ってやれば簡単なだけやて」
そう言って二本目のタバコに火をつける。
澄み切った空にタバコの煙がゆっくりと昇っていき、何事もなかったかのように風にあおられ消えてゆく。
それは、あの日の僕が消えていく様によく似ていた。
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