カモられるやつ

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「やられた……」  僕の声が、小さな部屋にこだまする。  ある七月の午後。  そとが曇っている所為か、部屋の中は電気をつけないと結構な暗さになっている。そんな中、僕は失意と絶望の混ざった暗さの部屋の中にいた。  ことの始まりはこの日の昼下がり。  それまでは快晴に近かった空だったが、近くの弁当屋で昼食を買って店を出て、家路についたころから雲が目立ち始めてきた。  そんな時だった。  ポケットの中で震えだす携帯。  ゆっくりと取り出し、サブ画面を凝視する。  090-XXXX-XXXX  見たことも無い番号だった。  普段は登録した番号以外は着信できないようにしてある僕の携帯。  しかし最近、携帯を変える友人が多かった所為か、その機能を解除して生活していた矢先だった。  とりあえず通話ボタンを押す。 「はいはい?」  何も考えずに答える。 「あ、もしもし?090-OOOO-XXXXの携帯の方ですか?」 「はぁ、そうですが……?」  聞いたこともない、しかもやけに改まった口調の相手。 「お客様のご利用になられた、アダルトサイトの利用金額が未納になっていましてですね、メールで請求したんですがアドレスに不備があり、送ることが出来ませんでした。なので、登録されている電話番号から直接お電話させていただきました」  ……マジか?
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