25人が本棚に入れています
本棚に追加
ピリリリッ…
ピリリリッ…
またもや知らない番号。
「……もしもし」
「あ、もしもし、090-OOOO-XXXXの携帯の方ですか?」
声は違うが、同じ内容の始まり方。
間違いなく、あのことだろう。
「こちらは回収代行業者のXXXと申します。再三お電話した入金の件ですが……」
ついに業者まで出てきた。
いよいよ逃げ場がなくなった僕。
「……それでですね、これ以上入金を延長する事ができないんですよ。これ以上伸ばした場合、ご自宅や職場、学校にまで回収業者を向かわせますがいかがしますか?」
これが決め手となった。
ミスとはいえ、自分自身のミスのために家族や友人を巻き添えにする事はできないと考え、ついに観念して答えてしまう。
「あの、いくらですか?」
「はい、6万8千円になっていますね。いまから言う口座に振り込んでもらえますか?」
声の主が口座名などを抜かりなく話す。
僕は助かりたい一心でそれをメモする。
「……では今から入金しますので」
「分りました。入金されましたら、確認のためにもう一度電話しますので」
声の主はそれだけ言うと電話を切ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!