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なんだか、押したらいろいろめんどくさそうだったので俺はそのまま眠ることにした。
また起きたらいろいろめんどくさいことはこなせばいい。
薬でも投与されたか、眠気が強かった。
「う、ん?」
物音で目が覚めた。ベッドの横を見やると、そこには見知った顔があった。
「あ、孝充くん、目が覚めたみたいね」
孝充というのは俺の名だ、そしてその見知った顔というのは、俺が幼いころからいろいろとお世話になってきた近所に住む姉ちゃんだ。名前は千穂さん。
「千穂さん、おはようございます」
俺はゆっくりと身体を起こした。
腹部に鋭い痛みが走る。
「いっつつ・・・・」
軽く腹をなでる。千穂さんが心配そうに俺を見ていた。
「痛む?鎮痛剤持ってこようか?」
「ああ、はい、一応お願いします」
千穂さんはわかった、といって病室のドアの方を向いた。
「あ、孝充くん、お話があるんだけど、いいかな?」
「え、あ、はい、どうせ暇ですし・・・・、いてて」
「じゃあとりあえずお薬持ってくるから、待っていてね」
千穂さんはそういうと、病室を出ていった。
話か、なんだろう?まさか、通り魔が捕まったとか?
「まぁ、どうせ暇だし・・・・」 何分ぼーっとしていただろうか。病室のドアが開く音で我に返った。
「お薬、持ってきたよ、点滴のやつ」
「あ、ありがとうございます」
千穂さんは液体が入った袋をなんかローラー付いた棒に取り付け始める。名前はよくわからんが。
千穂さんは点滴の針を俺の腕に刺した。痛い。
「それで、話って?」
千穂さんは急に薬を取り付けていた手を止めた。
「うん、ええと・・・・」
妙な沈黙が病室内を支配した。
「孝充くんは、好きな人とかいるの?」
「へぅえ?」
あまりに唐突な質問だ。変な声が出てしまった。
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