25363人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の昼過ぎ…
恵子はボストンバックを片手には一平の手を引いて連、ばあちゃんと和室にて話し合いをしていた
「私はもう明とやってけません…」
なんとも言えない表情で恵子は訴えた
「そうね…」
ばあちゃんは何か知っているのか?それ以上何も尋ねる事は無かった…
「それじゃあ…」
申し訳なさそうに家を出ようとした恵子に、1つの疑問が頭をよぎった
「た、泰平はどうするんだい?」
そう、まだ生まれて間もない恵子の第二子である泰平が、すやすやとベビーベッドで眠ったままであったのである。
恵子は思わぬ言葉を放った
「今からこの子と2人で生活していきます、そんな時期に新生児を連れて何が出来ますか?」
ばあちゃんは驚きながらも尋ねた…
「お腹を痛めて産んだ子でしょ?寂しくないの?」
すると母はこう言った
「別に…泰平が手に余る様でしたら、施設に預けてもらっても結構です。」
恵子の言葉に唖然とするばあちゃん
そんな、捨て台詞を吐いた母は離婚届けを机の上に残し、「本当に」去っていった。
もちろん俺には、この日記憶は無いが、母と兄を見た最後の日になってしまっていたのであった。
最初のコメントを投稿しよう!