第一章~ある日事件は起こった~

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「やっと見つけましたわ~~ 私に萌えを与えてくれる人を…!」 「は…?」 神介はポカンと口を開いた。 おかっぱ頭の少女はビシッと神介に人差し指を差して言った。 「あなた!クラスではごく真面目なキャラですが実は違いますね!?」 「……なんのことかな」 「庶民の目は誤魔化せても、私の目は誤魔化せませんわ! ー私の名前は橋本杏奈。 泣く子も喜ぶ世界の橋本財閥の令嬢です! さぁ、内なる姿を現しなさい! 私を萌えさせてごらんなさい」 クラスは騒がしいのに2人の間にだけ沈黙が訪れた。 「意味が分からないな、令嬢ならそれらしく振る舞ってはどうだい?」 神介は杏奈からメモ帳を奪い取り、自分の席に戻った。 残された杏奈は、拍子抜けして悔しそうにブツブツ呟いた。 『私のこの萌え魂に狂いはありませんわ。 感じる、彼のオーラを。 間違いなく彼は“大人しそうな顔をして実は腹黒い”キャラですわ! 暴いて見せますわ! 萌え魂の名にかけて!!」 神介は少し、身震いをした。 春とはいえ、まだ肌寒いからな…と自分に言い聞かせる神介と、彼の正体を暴こうと作戦を練る杏奈の1日だった。
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