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「やっと見つけましたわ~~
私に萌えを与えてくれる人を…!」
「は…?」
神介はポカンと口を開いた。
おかっぱ頭の少女はビシッと神介に人差し指を差して言った。
「あなた!クラスではごく真面目なキャラですが実は違いますね!?」
「……なんのことかな」
「庶民の目は誤魔化せても、私の目は誤魔化せませんわ!
ー私の名前は橋本杏奈。
泣く子も喜ぶ世界の橋本財閥の令嬢です!
さぁ、内なる姿を現しなさい!
私を萌えさせてごらんなさい」
クラスは騒がしいのに2人の間にだけ沈黙が訪れた。
「意味が分からないな、令嬢ならそれらしく振る舞ってはどうだい?」
神介は杏奈からメモ帳を奪い取り、自分の席に戻った。
残された杏奈は、拍子抜けして悔しそうにブツブツ呟いた。
『私のこの萌え魂に狂いはありませんわ。
感じる、彼のオーラを。
間違いなく彼は“大人しそうな顔をして実は腹黒い”キャラですわ!
暴いて見せますわ!
萌え魂の名にかけて!!」
神介は少し、身震いをした。
春とはいえ、まだ肌寒いからな…と自分に言い聞かせる神介と、彼の正体を暴こうと作戦を練る杏奈の1日だった。
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