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綾女が手を差し出し、女の子を立ち上がらせる。
「ありがとう、ございました」
「いいえ。どう致しまして。俺が勝手にしたことだしな」
綾女の答えに、彼女は少し笑う。
「なんか、可笑しい?」
「あ、ごめんなさい。そうじゃなくて…なんだか、新崎さんって実は普通なんだなって思えて。そしたら、そう考えてる自分が可笑しくなったの」
彼女が申し訳なさそうにしている。笑ったことを詫びているのだろう。
「俺はレッテルを張れているだけ。だが、みんながそう決め付けたんだ。俺のことを知ろうともしないで勝手にレッテル張りやがった。ならその通りになってやろうじゃんか、ってので不良してるだけだ。今じゃそれが俺になってしまってるけどな」
この事を語る綾女はとても寂しそうに見えた。
それを見て彼女はさらに綾女に興味を持った。
「けど…けど本来の、本当の新崎さんの姿があるんでしょ?」
彼女の言葉に綾女は戸惑った。
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