レッテル

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怒鳴られている少女は、新崎 綾女(シンザキアヤメ)。 口が悪く、自分のことを“俺”というが、これでも女だ。 彼女は、不良のレッテルを張られている。 きつめの顔立ち。 強気な言葉づかい。 それが彼女のことを誤解させる要因だった。 本来の彼女は不良ではない。 だが外見で判断をする奴らにむかつき、今はレッテル通りの姿を演じ不良になっているのだ。 最近では、本来の自分を見せることはなくなっていた。 「だから何だ?俺には関係ない。お前らで勝手にすればいいだろ。それとも、俺に頼らなければ解決できないのか?なっさけねぇ~な」 嫌味をこめて見下すように言葉を吐く綾女。 怒鳴っていた男子生徒が怒りに顔を真っ赤にしている。 だがそれを制して室長の虹波 智香(ニジナミトモカ)が冷たく言い放つ。 「放って置きなさい。その人に力なんてないのよ。このクラスに入ったのも何かの間違いでしょ」 室長の一言でその場は静まる。 何事もなかったかのようにそれぞれに離れていった。
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