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ベルベッドキッチン
洪水の音に目覚めた朝
希望をなくした君が開けた
勇気のドアから漏れていた
それは光と涙の洪水
君はうずくまってシャベルを持つ
何をするんだ?そう尋ねたら
思い出を埋めてもいいか?なんて
馬鹿らしくて寝たふりしても
嗚咽の声が聞こえてきたよο
もういいだろ
泣きやめよ
なにしにきたんだよ
そう言いたくて開けた窓に
杜撰な煙が滲んで消えたο
たった今なにを思って
この場所にたってるのかなんて
訳もなくてそれでも僕ら弱いから
ここで君が笑えるのなら
この場所は開けておくよο
夕焼けに染まったキッチンに二人
記憶を埋めようと必死になって
幾歳も忘れていたよ
いつしか白髪交じりで君は溜め息をつきながらも
お礼を言って消えるのかなο
おかしなもんさοそんな時代だ
キッチンは今も開けておくよο
弱く脆いシャベルを持って
忘れたものを思い出した時は
また座って話そうか
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