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「ほ、ほらぁ~! 龍が太鼓判を押してくれたぞっ! よかったなぁ、楓! ……楓?」
「…………」
返事がない……。
誠はブルブルっと身震いした。
あとちょっと……、あとちょっと耐えれば学校に着く。そうすれば逃げ切れるかも……。
しかし、誠の淡い期待は一瞬で断ち切られた。
「誠の……誠のバカァアアアアア!!!」
『ギャアアアアア!!!』
凜桐高校の校門に差し当たった二台の自転車が激しい悲鳴と共に、これまた激しく転倒した。
楓は軽やかに自転車から飛び下りると「誠なんてもう知らないっ! バカッ!」と言いながらズカズカと凜桐高校の校門をくぐっていった。
「……誠、これ一個貸しな」
運悪く巻き込まれた龍がポソリと漏らす。
「……最悪」
誠はグシャグシャになった自転車のかごから自分の鞄と楓の鞄を取り出し、声を漏らした。
楓は早足で人混みをかき分けズンズン前に進んでいった。
なによ、あのバカッ! ……でも、ちょっとやり過ぎたかも……。
そんなことを考えている間にクラス分けの発表用紙のある場所にたどり着いた。
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