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そう言って楓は美琴の背中を強引に押しながら下駄箱に向かった。
「うわわっ!? ど~したの城ヶ崎さん? ちーちゃん助けてよぉ~」
美琴の悲鳴を聞いたにも関わらず、千夏は楓の顔を見てニヤニヤしている。
「な、なによ……」
「いやぁね、誠が居ないなぁって思ってさ。あんたが誠と一緒に居ないときは決まってケンカしたときだし」
「う、うるさいっ! 千夏!」
「オー、恐っ。むきになるってことは図星か。あっ! 噂をすればなんとやらね。誠ぉー、龍ぅーこっちこっち!」
ぴょんぴょん跳ねながら二人を呼ぶ千夏。
楓は素早く美琴の背に隠れた。
「あの声は……千夏!? なんで千夏が二年に進級できてんだよ!? 不振科目が五個もあったのに」
ボロボロになりながらも、クラス分けの発表用紙を見に来た誠が言った。
千夏はそんな誠の腕に抱きついた。
「そりゃあ、私にはあんた達にはない絶対的な力があるからに決まってるでしょ?」
ニヤニヤしながら誠のほっぺをツンツンつっ突く千夏が言った。
龍は特大のため息をついたあと、ボソッと言った。
「……どうせ金だろ? この金持ちお嬢様め」
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