エピローグ

8/9
3705人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
「それだけじゃないわよ! 昨日だってアタシのせいで……」 「違うだろ? あれはオレへの逆恨みじゃん。楓はなんにも関係ないよ」 「うっ……、ま、まだまだたくさんあるわよ!」 「例えば?」 「例えばっ! 例えば……ダ、ダメねっ! たくさんありすぎて思いつかないわ!」  誠は大きくため息をついてグッとペダルを踏んだ。スピードがあがって風を切る音が大きくなった。  しかし背中に密着しているおかげで声はしっかり聞き取れる。 「なら、そばにいてくれよ……」 「でも……」 「楓はお荷物なんかじゃないって! お荷物は昔からオレだろ!?」 「違う! お荷物はアタシよ……」  すると突然キーっと甲高いブレーキの音を立てながら自転車の動きが止まった。 「うっせえなぁ! 違うって言ってんだろ! ききき、昨日からお荷物お荷物しつこいんだよ!」 「は? 昨日? 昨日って、あんたまさか! きゃあ!?」  楓が怒鳴った瞬間、再び自転車が進んだ。急に進んだせいで、自然に体が誠の背中に密着する。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!