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「ごめん、起きてた」
恥ずかしそうに言う誠の言葉に楓の顔がカーッと赤くなった。
楓は恥ずかしさをこらえながら誠の腰に置いた両手き力を込めた。
「いいい、いつから? いつから起きてたのよ!」
「えっと……な、軟膏グリグリ塗られた辺りかな?」
「ん、んじゃあ……キスも?」
「……うん」
「バカァ――――!」
恥ずかしさ限界突破をした楓は、誠の背中をばっしんばっしん叩きながら暴れた。
「うわわっ!? バカはおまえだ! 暴れんなってぇ!」
「うるさいうるさーい! やっぱりあんたなんか嫌いっ! 大っ嫌いよ!」
二人を乗せた自転車は不安ながらも坂を滑りおりていく。
変わったようで変わらない二人の関係。
そんな日々を過ごすうちに何かが変わっていくのだろう。
ただの幼なじみから、年ごろの二人の男女に変わる日は……近い?
〈おわり〉
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