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「つれないねぇ、オレ達、中学時代からの親友だろ? なぁ誠」
「うるさい! だいたい誠も誠よっ! なんであんたの周りには色んな人が集まるのよ? 気をつけないと人生棒に振るわよ?」
楓がそう言うと、龍と呼ばれた少年はかっこよく人差し指を振った。
「チッチッチ。わかってないねぇ、奥さん。誠には人を惹き付ける魅力があるのだよ」
「おおお、奥さんっ!? アタシ達そんなんじゃないわよねっ!? 誠ッ!?」
「知らねぇよ、そんなの……。ハァ、今日は休みたかったよ、ホント……」
なぜか慌てる楓に誠はハンドルにもたれながらやる気なさそうに答えた。
なにを隠そう(?)、隣に並列して自転車を走らせている『篠原 龍 シノハラ リュウ』こそ、春休みを満喫しようと企画した張本人なのだ!
龍は昔ケンカで名を轟かせた不良だったけど、今はオレの大親友。なんで不良を辞めたのかって聞いても、「おまえと出会ったからかな?」としか教えてくれない。
「ん? どうした、誠? オレの顔になんかついてるのか?」
誠が例のごとく龍の顔を凝視してしまったため、龍は自転車のハンドルから手を離し顔をペタペタと触り始めた。
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