始まりの始まり

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柿の実も美味しそうに熟し、赤トンボが空を飛び始めた頃、俺はこの霞ヶ崎の小さな学校に転校してきた。 「今日から、皆と勉強をする竜崎 知也君と竜崎 彩音ちゃんです。二人とも霞ヶ崎の事は良く分からないと思うので、みんな、仲良くしてあげて下さいね。」 そういって俺と彩音の自己紹介は終わり、俺は窓際の席、そして、彩音は俺よりも少し離れた席になった。 この学校は生徒の数も少なく、そのせいか小中学校が同じ教室になっている。 休み時間になり、ぼんやりと外を眺めていると、誰かが俺に話かけてきた。 「え~っと、知也君、だっけ?私、里村 理恵 サトムラ リエって言うの。よろしくね!」 理恵は俺よりも少し背が高く、見るからに運動が得意そうな見た目をしていた。 「あぁ、こちらこそ。よろしく」 と俺は少し無愛想な感じで軽く答えた。
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