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青島は、一服する為に自販機コーナーに向かうと雪乃と沖田が長椅子に座って話しているのを見つけ、何故か壁際に隠れた。
沖田「そういえば、結婚したのよね…。おめでとう…。」
雪乃「ありがとうございます。…あなたに、言ってもらえるとは思いませんでしたよ…。」
沖田「私が、堅物だと思ってたの?」
雪乃「…そういう訳じゃ…。」
沖田「わかってるのよ…。警視庁初の女性管理官として有頂天だったのかもね…。」
雪乃は、びっくりした顔をして沖田を見る。
雪乃「どうしたんですか…。貴方でも愚痴を言うんですね…。」
沖田「…私だって泣き言ぐらい言いたいのよ…。」
雪乃「…私が聞いていいんですか…。」
沖田は、雪乃に向かって微笑し切り出した。
沖田「…最初に湾岸署に来た時、青島君に言ったのよ。事件は現場で起きてるんじゃない会議室で起きてるの…。って。…けどね、私は現場を理解してなかった…。会議室で頭を使ってるだけ、検討違いのね…」
青島は、後ろから誰かが近づいて来ている気配に気付き振り向く。そこにはすみれが来ていた。
青島は、(シーッ)と小声で言い、沖田の方向に指を指す。すみれは、覗き込み青島と目を合わす。青島は、うなづき沖田に目線を写した。
沖田「…私がしっかり、捜査を指揮していれば貴方の同僚は傷つく事もなかった…。…私が若輩者だったから…。」
雪乃「…すみれさんは、貴方のせいで傷ついたのではありません。私が捕まったから…。」
沖田は雪乃を見る。雪乃は思い出したのか、唇を噛み締めていた。
沖田「…私達にとって、あの事件はトラウマになりそうね…。」
雪乃「なりませんよ。」
沖田が雪乃の目を見る。
雪乃「貴方と二人のトラウマなんて御免ですよ。」
雪乃は、笑いながらそう言うと沖田もつられて笑い出す。
沖田「…貴方と話していると、悩んでた事さえプラスになりそうね。」
雪乃「それは、青島さんの影響ですよ…。」
沖田「青島君の…?」
雪乃「あの人は、自分が傷ついても周りに元気をくれるんです。本当に強い人しか出来ない事ですよね…。私のはただの真似ですけど…。」
沖田「…そうなの。」
雪乃「…貴方は、私達の上司ですよ。現場は私達が走り回ります。早く容疑者を調べ出してください。」
そういう雪乃を見て沖田の表情は引き締まった。
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