2007年初春

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現場の一室に、たった一人でたどり着いた青島。 周りは、鑑識がもう捜査を始めていた。 青島「お疲れ様です。」 白い手袋をはめながら周りの捜査員に挨拶をし、現場に入って近くにいた捜査員に話を聞いた。 青島「害者は?」 捜査員「はっ、山下時雄37歳男性。ここに入ってるIT会社の常務みたいですね。首をロープみたいな物で締め付けられた窒息死です。今日の午前7時30分頃、迎えの車で会社に出勤して10時からの会議に来なかったらしく、社員が見に来ると倒れていたと、」 青島「その間に、誰か常務と会った人は?」 捜査員「それがぁ…、入口で見た警備員が言うには、会議まで誰も通さないでくれと伝えられたらしく…」 青島「じゃ、誰もここに通してないの?」 捜査員「いえ、この階の入り口には受付がありますが、受付嬢は警備員から話を聞いて、あそこに座ってからは誰も通してないと…」 青島「出勤したのは?」 捜査員「9時前だそうです。」 青島「7時半から9時前までは、誰も見てないって事?」 捜査員「そうなりますね」 青島「死亡推定時刻は?」 捜査員「詳しくは、解剖でわかるそうですが…。9時30分頃だそうです。」 青島「おかしくないか?9時にはあそこに受付嬢が居たんでしょ?」 捜査員「はっ、そうです。防犯カメラで確認するとその時間に常務の部屋に入っていった人間はいません。」 青島は、ア然とした顔を浮かべていた。 (犯人はどこから…?どうやって…。) 青島が、思考回路をフル回転させていると、入口付近の捜査員がこっちに向かって声を出した。 捜査員「警視庁捜査一課の到着です。」 青島「もう来たの~…。」 捜査員「本庁がお見えになると、所轄は出番無しですね。」 青島「…また、捜査員の運転手かもね。…情報ありがと!」 捜査員「いえっ、頑張ってください。」 青島は、捜査員に一礼をしてその場を離れようとしたその時、目の前から沖田管理官を先頭に捜査一課が歩いて来た。 沖田「久しぶりね。」 青島「………ですね……」 沖田「あまり、私を困らせないで。」 青島「気をつけます。」 沖田「期待してないわ」 そう言うと現場に向かって行った。 横に避け、捜査一課が目の前を通過していくのを青島は頭を掻きながらしかめっつらで見ていると、見た事のあるコート姿に呆然とした。
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