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青島「室井…さん?」
コート姿の男は、目の前に立ち止まる。
室井「久しぶりだな、青島。」
青島「いつ戻ってきたんですか?」
室井「一ヶ月前だ。新城君が上に掛け合ってくれたおかげだ…」
青島「新城さんが…、で、今は?」
室井「いろんな現場の補佐役だ。」
青島「もぅ、あの事件の時はハラハラしましたよ。」
室井は、眉間にいつものシワを作り青島を見た。
室井「すまなかった…」
青島「まっ、約束破らなかったからいいっすけどね…、室井さん現場の俺達は、あんたに期待してるだ。それは、忘れないでくれ。」
室井は、青島を睨み付け視線現場に向け青島の前から現場に向かう。
青島「相変わらず、不器用だな…」
笑いながら、青島はエレベーターに向かう。
室井が現場に着くと、沖田が待っていた。
沖田「青島君とは、何を…」
室井「再会の挨拶だ。」
沖田は、くすっと笑い室井に言った。
沖田「青島君には、期待できないけど貴方には期待してますので…。」
そう言うと、現場に指示を出し始めた。
室井は、不思議そうな顔したあといつもの気難しい顔に戻し、気を引き締めた。
青島が、ビルの外に出ると和久さんが野次馬に参加していた。
和久「おぉ~い、青島ぁ~。」
手を振っている和久さんに気付いた青島は近づいていった。
青島「なにしてんすか?」
和久「気になってな…。」
青島「和久さんは、刑事やめれないんじゃないすか?」
和久「青島、俺はおじいちゃんだぞ。孫の悲しむ顔なんか見たくないんだよ。」
青島「そうはいうけど、血は騒ぐんですよね。」
和久「バレバレか?」
青島は顔を近づけ、
「バレバレです。」と言うと二人は笑った。
和久「管理官は、また沖田って女か?」
青島「そうみたいですね。」
和久「またひと騒動起きそうだな…。」
青島「大丈夫っすよ。眉間にシワ寄った頑固者が居ましたから。」
そういうと青島は、歩き始めた。
和久「眉間にシワ…?……!室井さんか?室井さん帰って来たのか?」
青島は、振り向かずに笑顔で進んでいく。
和久「おい、青島ぁ~、答えろ。」
青島は、和久を無視しながら室井に向かって激励の言葉を口ずさんだ。
「しびれるような命令、また期待してます」
そう心から期待を込めて。
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