2007年初春

11/16
前へ
/74ページ
次へ
青島「室井…さん?」 コート姿の男は、目の前に立ち止まる。 室井「久しぶりだな、青島。」 青島「いつ戻ってきたんですか?」 室井「一ヶ月前だ。新城君が上に掛け合ってくれたおかげだ…」 青島「新城さんが…、で、今は?」 室井「いろんな現場の補佐役だ。」 青島「もぅ、あの事件の時はハラハラしましたよ。」 室井は、眉間にいつものシワを作り青島を見た。 室井「すまなかった…」 青島「まっ、約束破らなかったからいいっすけどね…、室井さん現場の俺達は、あんたに期待してるだ。それは、忘れないでくれ。」 室井は、青島を睨み付け視線現場に向け青島の前から現場に向かう。 青島「相変わらず、不器用だな…」 笑いながら、青島はエレベーターに向かう。 室井が現場に着くと、沖田が待っていた。 沖田「青島君とは、何を…」 室井「再会の挨拶だ。」 沖田は、くすっと笑い室井に言った。 沖田「青島君には、期待できないけど貴方には期待してますので…。」 そう言うと、現場に指示を出し始めた。 室井は、不思議そうな顔したあといつもの気難しい顔に戻し、気を引き締めた。 青島が、ビルの外に出ると和久さんが野次馬に参加していた。 和久「おぉ~い、青島ぁ~。」 手を振っている和久さんに気付いた青島は近づいていった。 青島「なにしてんすか?」 和久「気になってな…。」 青島「和久さんは、刑事やめれないんじゃないすか?」 和久「青島、俺はおじいちゃんだぞ。孫の悲しむ顔なんか見たくないんだよ。」 青島「そうはいうけど、血は騒ぐんですよね。」 和久「バレバレか?」 青島は顔を近づけ、 「バレバレです。」と言うと二人は笑った。 和久「管理官は、また沖田って女か?」 青島「そうみたいですね。」 和久「またひと騒動起きそうだな…。」 青島「大丈夫っすよ。眉間にシワ寄った頑固者が居ましたから。」 そういうと青島は、歩き始めた。 和久「眉間にシワ…?……!室井さんか?室井さん帰って来たのか?」 青島は、振り向かずに笑顔で進んでいく。 和久「おい、青島ぁ~、答えろ。」 青島は、和久を無視しながら室井に向かって激励の言葉を口ずさんだ。 「しびれるような命令、また期待してます」 そう心から期待を込めて。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

297人が本棚に入れています
本棚に追加