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青島は、二人が出ていくのを見ていた。すると、携帯が鳴った。相手はすみれだ。
青島「…もしもしっ。」
すみれ「……青島君?和久さんは?」
青島「現場のドアに鍵が掛かってて…。今、緒方君と森下君が聞き込みに行ってる。」
すみれ「…そう…。和久さんなんで…?」
青島「情報屋のもぐらから話を聞きに、俺は行けないから和久さん自ら…。」
すみれ「そうなの…。」
青島「こうなるなら、俺が一緒に行けばよかった。」
すみれ「……………。」
青島「…雪乃さんは?」
すみれ「さっき、そっちに向かったわ!真下君と!もう着く頃じゃないかしら?」
青島「真下と?なんで?」
すみれ「二人が来たらわかるわよ!じゃ、切るわね!」
青島「すみれさん…?切られたよ…。」
青島は、携帯を見て周囲を見渡す。
青島「…和久さん……。」
青島は呟き、表情を曇らせていた。
湾岸署~刑事課
すみれが青島との電話を切ると、新城が近寄って来た。
新城「青島は?」
すみれ「落胆中…。」
新城「そうか、やはり…。」
すみれ「……和久さんは、青島君の相棒…。日本のモーガン・フリーマンだからね…。」
新城「……………。」
すみれ「…相変わらず固いわね。」
新城は、固い表情ですみれを見ている。
すみれ「…こりゃ、失敬…」
新城「麻薬事件も、殺人事件も進展無しか…。」
すみれ「…どうなる事やら…。」
新城は、固い表情で出ていく。
すみれは見送り、立ち上がり刑事課を出ていった。
車内~
雪乃「ねぇ~、妻にはちゃんと詳しく教えてもいいんじゃない?」
真下「……………。」
雪乃「無視しないでよ………。」
真下「ん~っ……。」
雪乃「………ねぇ、聞いてる………?」
真下「うんっ、そうだよね……、雪乃、一倉課長……元薬物対策本部の管理官なのは知ってるよね…。」
雪乃「うん…」
真下「君も事情聴取されそうになった…」
雪乃「えぇ…」
真下「その事件で、一倉さんは手柄になったけど、六本木のバーのオーナーの存在を知ってしまった…。和久さんとは、別に一倉さんも情報屋として使っていた。」
雪乃「そんな…。」
真下「…一線を越えた付き合い…。上に行く為に献金も受けながらね…。それを僕達は突き止めた…。」
雪乃「……じゃ、和久さんの居所も………。」
真下は首を横に振った。
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