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真下「…一倉さんが薬物対策課の管理官から任を降りた時に、縁を切ったらしい…。それから連絡も取っていない…。」
雪乃「…そうなの…。じゃ、一倉さんはどうなるの…?」
真下「まだ、上には報告してない…。この事件が終わるまでは、沖田さんの右腕で頑張ってくれる…。」
雪乃「…じゃ、殺人事件の内通者では無かったのね…。私は、てっきり一倉さんと……。」
真下「…あの事件は、公安が調べてる。僕達は任から外された……。」
雪乃「……そうなの?」
真下「…あの殺人事件…裏が深そうだよ……。公安課長が身内が危なくなるって言ってね…。気を使ってくれた…。」
雪乃「そうだったの…。真下「…僕らもまだ詳しく知らないから君には伝えられなかった…。」
雪乃「ねぇ、すみれさんに言った(鍵)って何の事?」
真下「あれは…。これの事。」
雪乃「…ただの鍵じゃない?」
真下「………。」
雪乃「どういう事?」
真下「…公安課長に頼まれたんだ…。僕も詳しくは聞いてない…。」
雪乃「…警察って、隠し事ばっかりね…。」
真下は、黙ってうなづいた。
雪乃「…とりあえず急ぎましょう…!」
真下「そうだね。」
雪乃は、車外を流れていく太陽が沈んだばかりの東京湾を眺めていた。
警視庁~
安住副総監は、金子総務部部長、多田野刑事部部長、島津生活安全部部長と会議室にいた。
そこへ池神警察庁次長が部下を引き連れて入って来た。
安住「警察庁の幹部の方々が揃いも揃って何用ですか?」
池神「…そちらこそ、警視庁の幹部が揃って密談とは、何か相談事でも起きましたか…?」
安住「いえ…、別に…。」
池神「…殺人事件に進展は?」
安住「今、沖田君と室井君が調べてますよ。室井君を湾岸署から異動させるというのは、ありがたくいただきましたよ。」
池神「…その件は、私達にも都合がいいので…。」
安住「…お互い様。って訳ですか…。警察庁さんがめずらしく…。」
池神「そちらも、こちらの意見に賛同とは…。」
安住「………。」
池神「じゃ、私達はこれで…。安住さん、内通者にはお困りのようだ…。助言ならいつでも…。」
池神次長は、ニタッと笑い出ていった。
安住は、目を見開き動揺をかくせなかった。
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