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「そうですか…分かりました…。」
朝食を済ませた蓮たちはスキー場に電話してみた。
吹雪きは既に止んでいる。分厚い雪雲で暗めの天気ではあったが、さすがにスキー場は営業してると思った。
しかしスキー場に続く道路の積雪量が多すぎた。
このペンションは山の中腹にあるのでさほどでもないが、上のほうでは通行止めになっているらしい。
安全を考慮して、スキー場も休業という事だ。
「…じゃあしょうがない。昨日決めたとこに行くか?蓮。」
「あ~あ。せっかくウェア新調したのにな。」
「まてよ拓真。じいさんにほかになんかないか聞いて見てからでもいいんじゃないか?」
「あのじいちゃんならいないよ。さっきどっか出てくのが見えた。」
「はぁ?祐輔、マジかよ?あの人ちょくちょくいなくなるな。オーナーだったら客残してどっかいっちゃうっておかしくね?」
「そうよね…うちらが食い逃げしたらどうするのかしら?」
「由佳…多分一人だからやる事が多いのよ。」
美紀は目を伏せる。
「…まあ多少非常識だが、そういうことだろ?」
「…まぁいいか。」
あまり納得はしなかったが、蓮は諦めて溜め息をついた。
「さ!じゃあ行くか?」
「黙っていっちゃっていいのかしら…?」
「いんだよ!じいさんだって黙って出てったんだから!荷物も置いてくんだし、大丈夫だろ?」
「なんか用意してかなくて大丈夫?」
「祐輔、なんかってなによ?」
「…懐中電灯とか?」
「…そうだな。ちょうどそこの棚の上にあるから借りてくか。それと…廃墟なんだから多分寒いと思うよ。多少着こんでったほうがいいだろうな。」
蓮がそう言うと、それぞれ簡単な準備をして蓮たちはペンションを出た。
車のナビで場所を確認し、ちょっとしたテーマパークにでも行く感覚で目的地へ向かった。
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