ある雪山のペンションにて……

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 時刻は4時を過ぎた。  結局蓮たちはビールを2、3本飲み干しながら、1時間ほどポーカーをして遊んでいた。ほとんど砂嵐状態のラジオをバックミュージックにして。  外はいくらか吹雪きが止みつつあったが、相変わらず外出するには寒過ぎた。誰しも温泉にも浸かり、アルコールも入っている今、極寒の世界に出る気は毛ほどもない。こんな吹雪きの中、あのじいさんは一体何をしているのかと気になったが、どうでも良くなっていた。  ポーカーは祐輔の一人勝だった。だが負けず嫌いの拓真や由佳ですら、勝敗はどうでもいい感じで、ただ退屈な時間を埋め合わせるように過ごしていた。 「…もうポーカーは飽きたな。俺ちょっとその辺散歩してくる。」  役のつかないバラバラのカードをテーブルに放り、拓真が立ち上がる。 「え…?外はまだ危ないんじゃない?」 「そうだよ。拓真、危ないぞ。」 「外じゃねぇよ!ペンション内物色してくる。」 「あ~あ。私も。部屋で本でも読んでるわ。」  由佳もカードを放り、欠伸をしながら席を立った。 「なんだよ。せっかく面白くなってきたのに。」 「祐輔だけでしょ!」 「拓真、私も行ってもいい?」 「おう。」  足早に歩く拓真の後を美紀は着いて行った。  ロビーには祐輔と蓮だけが残った。  祐輔と蓮は目を合わせたが、二人でトランプを続けるのは、どう好意的に考えても面白くなさそうだった。 「…続き、やる?」 「…もういいだろ。祐輔、タバコ一本恵んで。部屋に置いてきちゃった。」 「俺ももうないよ。部屋に戻ろうか。」  思わずため息がでる。  蓮たちは元々退屈なのは苦手なのだ。かといって外に出る気にもならない。 そしてわざわざ雪山に皆で来たのに、明日もこうなのかも知れないと思うと、どうしようもなく憂鬱な気持ちになった。  蓮は今日珍しく早起きをし、実家にいる口うるさい父親にナビゲーション着き四輪駆動の車を借りに行ってまで此処に来た。退屈にトランプをする為にでは無い。白銀の斜面をお気に入りの板で滑る為だ。  蓮と祐輔も席を立ち、タバコをバックから補充する以外、何をするでも無いのに部屋へ向かった。  両手を頭の後ろに組みながら歩く祐輔の後を蓮はダラダラと追った。
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