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蓮は渾身の力を込めて扉を押す。由佳と美紀がその強固な扉を後押しした。
それでも扉は動かない。まるで岩を押しているように固く重い。
衝撃で扉が変型したか…
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(…何故開ける?
…自ら閉ざした地獄の門だろう?
…お前らは恐怖に逃げ出した……
…己の保身のみ考え…
…友の叫びを無視し…
…闇の世界に閉じ込めたのだ…)
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「うるせえぇ―――――!!!」
「蓮!!?」
「扉から離れてくれ!!」
頭に沸々と沸き上がる憤り。恐怖、責任、理性、怒り、予感…様々な感情が疲労困憊の蓮を動かす。
悪霊の囁きは無視した。
蓮は助走をつけ、扉に体当たりした。だが岩に体当たりした様に弾き飛ばされ、蓮は地べたを這う。
直撃を受けとめた肩に、稲妻が走った様に痛む。
朦朧と起き上がり二度目、体に衝撃と激痛が走る。飛びそうな意識が痛みで持ち返す。
三度目!
何かが外れる音が鈍く響き、手応えを感じた。もはや肩の激痛は限界だが、再度助走をとる。
四度目!
人一人通れる程の隙間だが、ようやく扉が開いた。
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