11月イベ 1 小説

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  生まれた時から僕には婚約者がいた。 最初は【婚約者】とは何かわからなかった。 君と初めて会った時僕等は幼くて二人共父上の後ろに隠れていた。 君は少ししてから僕の近くに歩いて来て、手を差し延べて、 「遊ぼう?」 可愛らしく笑いながらそう言ってくれた。 白い肌に赤い唇、大きな瞳に綺麗な髪、 とても可愛くて、とても綺麗だった。 人形よりも綺麗で、それは聖書に出てくる天使にとても似ている気がしたんだ。 胸がどきどきしておさまらなかった。 病気かな、と思った。 今ならわかる。 あれは一目惚れだった。 大きくなって君と僕は結婚した。 「許婚なんて関係ない。君と結婚できて僕はとても嬉しいよ。君を絶対に幸せにするよ」 そう言うと君は恥ずかしがりながら可愛く笑ってありがとうと僕を抱きしめてくれた。 父上と母上、そして君、皆でいるこの幸せが続くと思っていた。 三年して、父上と母上は病気で亡くなった。 辛かったけど悲しかったけど、君がいるから僕は立ち直れた。 そして 僕は王になり、 君は女王になった。  
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