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吐く息が熱くなる。
すぐ傍には大好きな温もり。
「しっかりしろ!佐助!」
「はは…。何て顔して…っの?」
俺はきっと幸せ者だ。
この乱世で愛する者の腕の中で逝ける。
俺にとってこれ以上の幸せはない。
贅沢言えば、戦のない平和な世をアンタと生きたかった。
団子を食うアンタをからかって、他愛ない話をして…
そんな風に過ごしてみたかった。
けど、俺は忍だから。
最期に看取ってくれるのがアンタだっただけでも、幸せなんだろう。
「笑ってよ」
声が掠れる。
「旦…那」
俺、アンタの笑った顔が好きなんだからさ。
「佐助」
俺の名を呼びながら、旦那はぎこちない笑みを浮かべる。
「っきだ」
ー好きだよ。
出せる限りの声音で告げる。
アンタが俺の為にそんな顔してくれるなら、今生の別れにくれてやる。
墓場まで持ってくつもりだった、俺の本音。
「旦那が好きだ。誰より愛してるから…」
「っ佐助///馬鹿者!こんな時に」
顔を真っ赤にしながらも、俺から目を逸らしたりしない。
期待、していいのかな?
「っ…生きて、幸せになっ…」
「佐助!」
上手く声が出せないけど、伝えておきたい。
「来世で…っいつ、か…」
頬に何かが落ちて伝ったけど、それが何かなんて、俺にはもう判らなかった…
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