流浪のエルフ

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港に入港間近の船の甲板に2つの人影が有った。 2人共フード付きの黒いマントを被り、顔は見えない。 「随分と遠くまで来たが… こんな所に居るのか?」 「人に紛れているならばいるんじゃ無いですか? それに、見付から無くとも探し続けるだけです」 「そうだな。 だが、探すのは同族だけじゃ無い。 奴等も…だ。 その為に、こんな変な物にまで乗ってるんだからな」 「ひょっとして酔いましたか? 船は初めてですからね。 そういう時は、遠くを見た方が良いですよ」 「これなら、魔法で移動すれば良いじゃないか。 人間の考える事は… おい、変なのが飛んで来るぞ」 港の上から近付いて来た何かは、甲板に降り立つ。 「天使!? …いや、有翼人種か。 エリス様、お下がり下さい」 フード付きの片方が前に出る。 「エルフが2匹… ほう、1匹はメスか。美味そうだな」 「メスだぁ!? セイド、こいつは私がやる。 シルフ!」 エリスと呼ばれた方がマントの下から剣を抜き、フードを跳ね上げて前に出た。 言われ方がかなり頭に来た様だ。 しかし何故判ったのか? 一応、男装はしているのだが。
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