流浪のエルフ

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「エルフなんてのは食い物なんだ、メスで十分だろ?」 オーディウスが笑うと、エリスの回りで風が吹き荒れ始めた。 「お前が… 魚のエサになれ!」 甲板に突風が吹き荒れる。 「面白い!」 オーディウスは甲板を拳で貫き、風に耐える。 「場所をわきまえて下さい!」 セイドが叫ぶ。 確かにその通りだった。 瞬時に吹き荒れた突風はマストに当たり、船が大きく揺れる。 さらには船の揺れに加えて強風に煽られて、荷物が落ちる。 ついでに人間も何人か落ちた。 「何でこんなに揺れるんだ!?」 船に乗るのが初めてのエリスには、状況が理解出来ていない。 「当たり前です! 船上ではむやみに風の力は使わないで下さい!」 セイドは頭を抱えたい気分だった。 「ここは私が相手をします。 早くシルフを引っ込めて下さい」 「…魔法が駄目でも剣が有る!」 エリスには引く気が無いらしい。 「…お前等、喧嘩ならよそでやれ」 客室から甲板に上がって来る人影が有る。 シオンだ。 客としてこの船に乗っていたが、船長からこの騒ぎの鎮圧を依頼された。
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