流浪のエルフ

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「喧嘩じゃ有りませんよ! この変なのが突然襲って来たんです!」 セイドは必死だ。 何しろ、船の被害自体はエリスの魔法のせいだ。 ここで全てをこの羽根付きの罪にしておかないと、後で大変な事になる。 「そうか。 なら、こいつは私に任せて落ちた人を助けると良い。 事情はともかく連れの魔法で落ちたのだろう?」 バレてる! よく見ると、エリスの回りには不自然な風がまとわり付いている。 こうなれば、さっさと救助するしか無い。 「エリス様、こいつはまかせましょう」 「分かった!」 そう言いながらも、オーディウスに剣を投げ付ける。 それは当たる前に掴まれ、握力だけでへし折られた。 「やはり安物は駄目だな…」 そう呟くとマストにくくり付けられているロープを拾い、溺れている者の近くに飛び込んだ。 甲板ではシオンとオーディウスが向き合う。 「一つ聞いておくが… お前は、乗船料を払ったか?」 シオンの問いにオーディウスは馬鹿にした様に答える。 「何言ってやがる。 今飛んで来たってのに、そんな物払う訳無ぇだろ」 「ならば密航者か海賊だな。 これで今の奴等の行為は正当化出来る。 さて、被害の賠償金を払ってもらおうか」
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