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慌てて家に帰ると、兄貴が待ちくたびれたと不機嫌になっていた。
「何さ、人がせっかく飯作ったのに、いつの間にか作った金髪彼女と出掛けちゃってさ…」
外見こそは格好良い方の兄貴だが、告白してくる女の子を片っ端から振っていくため、彼女はいない。
「ごめん。それとあの人は彼女じゃないから」
啓護は配膳の手伝いをしながら平謝りをした。
それを聞いた兄貴は不思議そうに目を大きく見開きながら「ふぅん」と何か意味ありな雰囲気を醸し出しながら頷く。
「何か言いたそうだね」
「べっつに」
その視線がむず痒くなり、聞くと兄貴はやはり意味ありな雰囲気を醸し出しながら茶碗にご飯の山を作る。
これ以上関われば、どこかで墓穴を掘ってしまいそうだったので啓護は黙って箸を並べる。
食事中も兄貴はにこにこしながら箸を口に運んでいた。
啓護は飲み込むように夕飯を終えると、ぶっきらぼうに挨拶をし、自室へとこもってしまった。
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