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クロは天獣の説明をしてくれた。
天獣とは、先程も言っていたように、天使が悪魔の仕事を邪魔する為に送ってきた獣のことをいう。
しかし、天獣の役目は悪魔の邪魔をするだけではない。
この世界には現世をさ迷う幾つもの魂が存在する。
その魂をエネルギー源としている天獣は不正にそれらの魂を取り込んでしまう。
本来、魂は天使の住む天界と、悪魔の住む地界どちらかに送られることになっているのだが、天獣が魂を取り込んでしまうことで、そのサイクルに亀裂が走ることになる。
「ちょっと待って、天界とか地界とか何なの?」
啓護はクロの説明を途中で遮り、話を少し戻す。
「人間が天国とか地獄とか呼んでいる世界ですよ。想像しているのとは大分違うと思いますが」
クロは天界と地界の説明も付け足してくれた。
天界には天使が、地界には悪魔がそれぞれ住んでおり、そこで生活をしている。
死んだ魂は天界か地界に送られ、再び現世に生まれる時を待つのだ。
魂は向こうの世界に入ると、現世で成していた体を再び作り、死んだ歳から逆に歳を戻しながら過ごす。
要するに時間と共に若返るという訳だ。
最終的には現世の母胎に新たな命として生きる。
それが俗にいう「転生」や「生まれ変わり」となるのだ。
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