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紙面には細かい文字が嫌がらせとしか思えない程羅列しており、見ているだけで頭が痛くなる。
啓護は口の中で低く唸ると、眉間に刻んでいた皺を深めた。
「それを覚えないと冬史にも勝てませんよ」
それを聞き、啓護は唸るのを止めた。
「悪魔になるんですよね?」
痛い言葉に啓護は押し黙る。
そしてクロの言葉を聞き流しながら羅列された文字を頭に叩き込む。
「これは悪魔も天使も共有の基礎なんですからね」
そう、今啓護が読んでいるのは悪魔にとって大切な「呪文」が載っている、謂わば悪魔の為の教科書である。
呪文とは一定の言葉の羅列で、悪魔と契約を結ぶと、その言葉が自然や体内から放出される力と反応し、様々な現象を引き起こす。
以前、悪魔になる際に唱えたのも呪文であり、その呪文がなければ何も出来ないのだ。
また、その呪文は漫画や映画のように悪魔になれば勝手に頭に入っているわけではなく、始めから覚えなければいけないのだ。
更に、ただ呪文を唱えれば良いのではなく、精神や体力も関係していく。
高度な術になればなる程、体力の消耗は激しくなる。
現時点で啓護が覚えている術は自身が悪魔になる呪文と、小さな火を吹き出す呪文だけである。
さすがにこの程度では冬史やユキに勝てるはずがない。
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