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チャイムが鳴り終わってしまったのは啓護が階段を駆け上がっている最中だった。
遅刻はま逃れず、荒い息を吐きながらもスピードを緩める。
そおっと教室のドアに付いている小窓から中を覗く。
まだ教師は来ていないらしく、数人の生徒が立ち歩き、お喋りをしている。
啓護は教室の中に入り、ほっと胸を撫で下ろした。
誰かが言い付けない限り遅刻にはならないだろう。
「今日もギリギリかよ」
中村が茶化すように笑ってきた。
啓護は人の苦労も知らないで笑う中村を睨むと、クロの入ったままの鞄を机に打ち付けてしまった。
「席に着けー」
教室の前のドアが開き、教師が入ってきた。
生徒達は一斉に席に着いた。
「…あれ?」
いつもと違い、教師の後ろを金髪の女子生徒がついて歩いている。
白い肌に、青い瞳。
金色の髪には緩くウェーブがかかっており、光の射し具合で輝いて見えた。
生徒達の間がざわつき始め、物珍しそうに見ている。
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