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「とにかく、いつテンジュウがアラワれてもイイようにアタシはケイゴをカンシしてるからネ」
ぱちんとウィンクを投げ掛けると、シャーラ可笑しそうに咽を震わせた。
「オキャクサマのおデましネ」
「は?」
シャーラはフェンスにもたれ掛けていた体をぐっと持ち上げると、眩しそうに空を仰いだ。
その仕草に釣られ、啓護も同じように空を見上げた。
「啓護、用意を!」
空から降ってくる物体を認識する間も無く、クロが叫んだ。
半ば反射的に啓護は宙に円を描き、呪文を唱える。
「暗黒の翼と契約、その力を我に与えよ!」
描かれた円に飛び込めば、黒い光が啓護を包み、制服から黒い悪魔の服と変わった。
それと同時に白い虎のような動物が屋上のコンクリートの床を叩き割った。
その白い虎が本当の虎でない部分は背中に白い天使のような翼が生えていることだ。
「な、なんだコイツ!」
「テンジュウよ」
シャーラはにやりと口角を不適に吊り上げ、早くも戦闘態勢に入っている。
「ホントウはケイゴひとりでやらなきゃいけないんだケドね」
溜め息を交えながら言うと、左の拳を脇に構え、右の拳を前に突き出すと、前屈みの体勢に変えて地面を強く蹴った。
白い虎、否、天獣は一声唸るように叫ぶと、琥珀色の瞳に殺気を秘めて全身の毛を逆立てる。
その威嚇にも怯むことなく、シャーラは天獣に突っ込んでいき、白い毛に包まれた頬に拳を叩き込んだ。
それに続けて腹に蹴りを抉るようにお見舞いし、その反動で身軽に天獣との距離を取る。
天獣は苦しそうにうめくと、太い前足をよろめかせた。
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