悪魔の心得

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かれこれ勉強を始めて二時間以上経過している。 学校が終わってすぐにクロが鞄から飛び出し、仲村と約束していたゲーセンへ行く予定を蹴り、悪魔の修行をしているのだ。 「では、やってみますか。私が手本を見せますから、真似して下さい」 そう言うと、クロは座っていた椅子からぴょこりと飛び降り、両手を前へ出した。 そして目の前にあるひょろ長い木をしっかりと見つめ、風に揺られる葉の動きを目で追う。 何かを感じ取ったのか、黒目がちな目を閉じ、出していた手で円を描いた。 「暗黒の炎よ、対象物体にて発動」 そうクロが唱えると、揺れていた一枚の葉だけが真っ赤な炎により燃え、一瞬にして灰になってしまった。 啓護は唖然としたまま風に吹かれて舞う灰を目だけで追った。 目の前で起こる奇怪な現象は何度見ても慣れる事は出来ない。 「では、どうぞ。あの葉を狙うんです」 クロはいとも簡単に言い、指示をする。 揺れる葉を燃やすのは困難で、なかなか目標が定まらない。
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